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2015.12.14

池田が講演!「21世紀のキャリア論:我々は変化の時代をどう生きるか」

毎月に日比谷図書館で開催しているピースビレッジというフォーラムで、SUNの活動を共にしている池田が「21世紀のキャリア論:我々は変化の時代をどう生きるか」というテーマで講演を行いました。

 

生々しい自分の人生をリアルに、かつオープンに、そしてそのことを構造的に咀嚼して語る彼の姿に、人の持つ潜在的な可能性と、創造的に生きることの素晴らしさを感じ、本当に素晴らしい講演内容と思いました。会場には、ご両親と奥様と息子さんもお越しになりました。講演内容の一部ですが、心に残ったセンテンスを下記にシェアします。

 

〈問題意識〉


・自分という存在はオリジナルであることを望むにも関わらず、「自分の生き方」を考える時には他人の成功哲学や世の中の常識を当てはめようとしていないでしょうか。なぜ唯一無二であるはずの自分の人生を、すでに決められた鋳型(流行りの成功哲学など)にはめようとしてしまうのでしょうか。

 

・社会の変化が加速することで“常に変化する社会”と”変化できない自分”との矛盾が顕著になり、過去の成功パターンを追う生き方は限界を迎えているように思います。この矛盾を乗り越えるには、みずからが自分の人生の主体者となり「自分で自分の人生を創る」ことが求められています。

 

・今の社会の前提が通用しない未来を生きるために、今後何を拠り所として人生の意志決定をしていけば良いのでしょうか。

 

〈方向性〉
・「変化する時代の中でどのように人が主体的に人生を進めていくのか」という新しいキャリア論が求められている。

 

・今、抱えている問題の本質は「自分らしく生きたい欲求」と「社会と繋がっていたい欲求」との葛藤にある。

 

・であれば「その葛藤を抱えながらも、どう人生を前に進めていけばよいのか」を示せれば、それが今後のキャリアデザインの一つの方向性となるのではないか。

 

〈会社員時代〉

 

・常に変化する打ち手をとってきたが、動機が承認欲求、自己拡大だったため、状況は変わったけれども(外的変化)、構造は変わっていなかった。(内的変化を伴わない)。

 

・欲求不満で自己実現ができない自分の問題を社会の問題にすりかえ、目の前の会社から逃避し、外で居場所を作り、それを拡大していくことが気持ちよくなっていた。表面的な変化に酔っていた。

 

・外では会社を言い訳にし、会社では外を言い訳にして、結局何も真剣に向き合い切れていなかった。

 

〈辞めてからの暗黒時代〉

 

・本音ではずっと不安や恐怖を抱えていた。それを何とか隠すために外側を武装して、他者に対してそれっぽい説明をつけ、自分の選択を社会の中で正当化することに必死になっていた。

 

・当然何をやってもうまくいかず、自分の中での納得感は得られなかった。それが他者に対しての嫉妬や、社会に対しての怒りとして渦巻いていた。

 

・いよいよ自分の内面に折り合いをつけていくことに限界がきて、本音をオープンにした。それから物事が動き出し、はじめて社会の中で居場所を作れた。

 

〈フリーランス〉

 

・主体性を発揮して、自己実現を求めるのは重要。しかし、それが行き過ぎると外側ばかりを自分の都合良く変えようとして、内的な変容が起こらない。

 

・外的な変化を起こせる力を拡大していくのが「成長」であり、自分の内側に変容を与えて得られるのが「成熟」であるとすると、与えられた状況を引き受けて、多様な価値観を内部化できるようになることが成熟に繋がるのではないか。共に重要であり、相互作用している。

 

〈仕事人生から思うこと〉

 

・「自己実現」の前提である「自己」は「この世に存在する唯一無二の存在である」という「みずから性」と、「社会の一員として生かされている」という「おのずから性」を併せ持つ。

 

・みずから性のみで自分を中心においた瞬間に学びがなくなり停滞する。つまり「変化」が必要である。気づきを得て「変容」しなければ、同じ構造を繰り返す。

 

・これを自覚し、(外側の状況)変化と(内側の心的)変容を相互作用させながら自分を前に進めていく。

 

〈結婚について〉

ジョーゼフ・キャンベルの著作の言葉を紹介。

 

・結婚というのは、相互の関係性と歩み寄りです。夫婦それぞれが一つの有機体の中で役割を持っていることを理解し、その機能を理解するのです。

 

・恋愛は手近な個人的な満足にすぎません。しかし結婚は試練です。繰り返し歩み寄ることです。二人の関係性に参入するために、一人の単純明快さを手放すのです。自分を相手に与えるのではなく、二人の「関係性」に与えるのです。

 

・自分が相手と同等に関わり合っているのだと気づけば、関係性に自分を与えることは、自分を失う不毛なことではなく、人生を慈しみ豊かにする経験となり、人生を築くことになるのです。

 

・私たちはよく結婚相手を一つの立場に釘付けにしておきたいと思う。人は結婚はこうあるべき、こうあって欲しいという固定観念を持っています。それを捨てなければ、愛ある結婚の冒険は手に入りません。

 

〈21世紀のキャリアデザインとは?〉

 

・過去の事実は変えられないとしても、意味づけは変えられる。意味づけの仕方によって今への向き合い方が変わる。今への向き合い方が変わることで未来は変わる。結局は「今にどう向き合い、どう生きるか」。そのために何を拠り所として生きるか。

 

・まずは「自分」という存在をどう意味づけするのか。そのために何を拠り所として生きるか。「みずから性」がいきすぎた世界において状況を内部化し、「おのずから性」を取り戻して、常に振り子のように前に進んでいく。

 

・絶え間ない振り子の大きな流れの中で「自分がどこにいるのか」「何を問われているのか」を意識し、おのずと生かされている存在という自覚を持ちながらも、主体的に人生を前に進めていく。

 

・一人ひとりが自分の「みずから性」を優位した生き方をしていたら、社会はまとまらない。

 

・自分の正当性を押し通して満たされる充足感より、他者と繋がり、自分自身が変容し続ける充足感の方が味わい深い。

木戸 寛孝

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