HOME > 松田さんが講演!「クリエイティブ・コミュニティシップ」

2016.01.16

松田さんが講演!「クリエイティブ・コミュニティシップ」

日比谷図書館で開催しているピースビレッジというフォーラムで、SUNメンバーの松田さんが「クリエイティブ・コミュニティシップ」というテーマで講演をしました。

 

松田さんとは2007年に出会い、それ以来、世界連邦21世紀フォーラムの活動を一緒に取り組んできて、様々な経験を共有してきました。

 

1914586_1147826975242530_6373678017071016419_n

 

講演で語られたことは、単なるビジョンやコンセプトではなく、松田さんが実際に行動し、思い通りにならない経験も含めて「身をもって感じたこと」だからこそ、本当に意味ある内容だと思いました。講演内容の一部ですが、心に残った文脈を下記にシェアします。

 

(以下、松田さんの講演語録より)

 

個(人、物、金)が分散・拡張されながら、全体(社会、生態系、生命)が崩壊していく時代においての「問題の本質」とはいったい何でしょうか?

 

1.分析的思考から創造的思考へのシフト。では、【創造的思考】とはどのようなものでしょう?

 

創造的思考とは「変化」を促す力。自分自身の持つ古い常識や固定観念に対する「創造的破壊」をおこし、内なる否定力を通じて「パターン化した思考」を終わらせていきます。自分を省みて「気づき」、「自覚」を深めながら「意識の変容」を促す。社会を変えるのではなく、自分の「意識の変容」を通じて、社会との「新しい関係性」を構築していきます。

 

創造性の一面である「受容性」。受け入れて、取り込むということは、「自分事化」すること。矛盾やジレンマを受け入れるとは、異質で不完全なもの、思い通りにならないこと、相容れないものを、排除しないこと、また逃げないこと。それらを「咀嚼」し、その過程の中で深く自分の内側を見つめ、湧きあがる「感情(怒りや恐怖など)」と向き合いながら、ゆっくりと意識の変容を促していきます。

 

創造性を経験するにあたり沸き上がる「恐怖」。恐怖とは、自分が創り出している「影」のことです。影とは感情の根元にある「本能」や「想念」のようなものです。それは今まで自分が向き会わなかったことや、無意識的に抑圧されている心の癖やある一方の心の側面であり、人はそこから往々にして「逃げて」しまいます。選択の「自由度」が極めて高い社会構造がそれらを促し、また解釈も「自己都合」ですから、そのパターンに陥りやすい。人や場、手法(外側)だけを取り替え続けてみても、古い思考の枠組みに囚われたままでいます。

 

創造性における「変容」。意識の変容とは、今までにない意識に「生まれ変わる」ことです。意識が変容する過程では「深い体験」を通じた「破壊と再生」が起こります。深い体験とは、自分の持つ「意味と文脈を越える経験」であり、ジレンマによる「葛藤(感情や思い)」に苦しみ、心が引き裂かれるような状態(ねじれ)が起こります。この過程においては「孤独」になることが重要です。この過程で与えられる「深い気づき」こそが、これからの「新しい展望(道)」、「次の方向性」となりうるものであり、むやみに問題を解決しようとせず、「十二分に体験し、その意味を感じ取る」(苦しい気持ちが変容していく過程での気づき)が極めて重要です。

 

創造プロセスにおける「混沌」。不確実な状況を受け入れることおきる「葛藤」(困難)の事。困難に向き合い、最善を尽くしてもときに間違い、苦しい状況がおきます。この本質は困難を通じて「真摯な態度」を取り戻していくことであり、またしっかりとやるべきことを果たしてゆくために必要な、日々の慣れや意識の停滞の中にくる「きづき」(あきらめない心)です。自分の人生を「より開かれた」ものにしていくためには、「葛藤を受け入れる心(耐性)」が必要。

 

創造における「相互作用」と「動的平衡」。相互作用とは、「関係性」の中に変化を生み出していくこと。相互作用を通じて、新しい関係性(秩序や調和)を構築するためには、矛盾やジレンマを結びつけていくための「状態(動的平衡)」が必要。常に一方に偏らず、また過大でも過小でもなく、常に両極を平衡し、その間を流動しながら物事を生成させていく。バランスをもたらすには「限度」を知ることが必要です。常に「限度」と「バランス」を見極めながら、要所要所で「決める」ことで変化(秩序)をもたらしていきます。

 

創造を発揮するために求められる「自己管理」。思考や意識の管理だけでなく、「身体」の管理(食、運動、睡眠)を通じて、「心身共に健康」である状態を目指していきます。管理において努力は必要ですが、無理のない範囲で実践する。みずからの体験を通じて「限界(体の声)」聞き、その都度調整が必要。自己管理の本質は、自分の身体を大切にした上で更に、「関係性」に対して向けられるもの。向上したパフォーマンス(素直な心やストレス耐性)を家族や仕事、コミュニティや友だちに対する行為(やさしさ)として、善循環させていきます。

 

2.新しい【場】(コミュニティー)に求められるもの

 

多様化する働き方やパートナーシップの形を担保していくための「新しい場」が求められています。新しい場の創造を通じて、従来の場(会社組織と家庭)における矛盾やジレンマを乗り越えていきます。「複雑性」(3つの場/職場・家庭・コミュニティとの相互作用)を担保し、「自覚(愛を学ぶ)」を深めるための「不確実性」を経験する場です。このコミュニティにおける「自己再生(意識変容)」を通じて、従来の共同体(働き方やパートナーシップの結びつき)に変化を与え、「新しいライフスタイル」を創造していきます。

 

場が目的とする「自己再生」。自己再生とは、コミュニティに対して、自分が開かれた状態(オープンな自己)です。そのためには自分の「弱い所」「悩んでいること」(本音)を共有して、全員が「大切なこと」を言える場(共感の場)を形成します。その状態を通じて、一人ひとりが「自己再生」を促しながら、コミュニティの「心のまとまり」を生み出していきます。内なる否定力によってうまれる創造性が、オープンさ(自己再生)に繋がらなくてはなりません。そのためには「自覚」が必要です。自己再生における自覚とは、「不完全な自分」の自覚、「自分の力の限界」(主体性を発揮した上での)の自覚、「現状のライフスタイルの限界」の自覚、“一人では生きていけない”という「本当の自覚」が必要。

 

場のあり方としての「自律分散」。自律的な個人がまとまりをもつことであり、個々の相互作用が全体として機能する。分散は手段であり、その目的は「全体性」を担保するための進化であり、より大きな統合へ向けた「創発的進化」に他なりません。より大きな目的やビジョンで繋がりながら変化と成長を繰り返し、「より複雑な環境へ適合」していきます。

 

場のあり方としての「多様性」。多様性は社会に「進化」をもたらす源泉ですが、多様な価値がただそこにある状態(ランダム・乱雑・不完全)ではなく、一貫性を持ち「まとまり(律)」がある状態が必要。一貫性とは「限度」と「バランス」がもたらされ、個人が活かされながらも、全体性が尊重・優位されている状態。一人ひとりの「不完全さ」を補完し、自己再生を通じて、コミュニティの「心のまとまり(律)」を生み出していきます。コミュニティの本質は心のつながりであり、世界とは「心の結びつき」です。

 

3.【コミュニティーシップ】とは?

 

リーダーシップとは、主体性を発揮し、不確実な状況を切り開いていくこと。みずから決断し、物事を前に進ませていく。リーダーシップの本質は、「力」であり、まわりを巻き込みながら、問題を解決していきます。

 

フレンドシップには、利害で繋がっていない関係で、ヒエラルキーも一番もない。条件づけを越えて、共にいたいといえる関係。フレンドシップの本質は、「愛」であり、目の前にいる相手を思いやり、お互いに助けあいます。

 

コミュニティシップとは、リーダーシップとフレンドシップを統合する新しいリーダーシップです。不確実な状況を切り開いていく力、相手を思いやりお互いに助け合う愛、これらを併せ持つリーダーが「コミュニティシップ」です。コミュニティシップを通じて、自己とコミュニティ、自己と仕事と家庭に「変容(自己再生)」を促しながら、「21世紀の平和」を考え、実践していきます。

木戸 寛孝

木戸寛孝が書いた記事

木戸寛孝の記事をもっと見る